2014年03月31日

蛇女房(へびにょうぼう)

昔、むかし、あるところに、心根のやさしい若者がおりました。
野良仕事に精出しては、いつもの池の縁で昼食をとり、残った食べ物を「水神様にあげます」といって池に投げ入れておりました。

ある日、池の縁にきれいな乙女が立っていて、「私は池の主、何時も食べ物をもらいお世話になったのでその恩返しに是非私をあなたの妻にしてください。」といいました。

美しい娘の姿を一目見てすっかり恋をしてしまった若者は、乙女を家に連れて帰り一緒に住みました。
しばらく暮らすうちに、娘はいつしか懐妊し、やがてお産の時を迎えました。

「節穴のひとつもない部屋を造って、たらいに水を汲んで置いてください。それから誰も近づかぬように・・・・。もし、一目でも人に見られたら、私はこの家におられなくなります。」といいました。

若者は、なにもそれ程隠すこともあるまいにと節穴の一つを抜いて中をのぞいてしまいました。すると部屋の中では、大蛇がたらいを幾重にも巻いて、たらいの中の赤子をその尻尾で水洗いをしていました。

若者は、大変びっくりしましたが、そ知らぬ顔をしていますと、もとの美しい姿にかえり部屋からでて来た女房は「あれ程お願いしていたのに、あなたは約束を破り、本当の私の秘密を知ってしまいました。見苦しい姿をみられてしまったからには、もうこの家にいることはできません。どうかこの子供を頼みます。」といいました。

「お前の秘密は知ってしまったが、別れるつもりはない。子供のために大切な親なのだから、いつまでもこの家にいてほしい。」
若者はそういって頼みましたが、女房は聞き入れず「この子があまり泣くときは、池の縁にきて笛を吹いて私を呼んでください。」といい残し姿を消してしまいました。

子供が泣く時に池の縁にゆくと母親の姿になり池からでて来て乳をのませてくれました。

そのうち、子供が大きくなるにつれ母親との別れをいやがり、大声をあげて泣きさけび母親を引きとめようとするようになりました。

「こんな母を恋しがってはかえって将来のためにならない。本当の母親の姿をみせればきっとあきらめるでしょう。」と心を鬼にしてわが子に大蛇になった姿をみせその後は二度と姿を現しませんでした。

わが子への愛は大蛇も人間も変わらぬものと村人たちは話合ったといいます。


【動画】蛇女房(dailymotion)

株式会社ナグモ様 (群馬県のお土産など製造されているそうです)

参考書籍 尾瀬の民話と伝説 尾瀬むかしむかし 第ニ集より
     (株ナグモ様の書籍より)
     ※参考図書を元に、文章を書いています。
posted by ひよこ at 17:23| 民話 群馬 | 更新情報をチェックする

2012年11月30日

花咲石(はなさくいし)

昔、尾瀬の深山(みやま)に「悪勢(おぜ)」という盗賊が居ました。
「悪勢」は村人たちを大変悩ませていたそうです。

保鷹嶽(ほたかだけ)「武尊山」に陣をしいた悪勢は、通力で雪を降らせ、平定に入った日本武尊命(やまとたけるのみこと)の軍を苦しめました。

尊(たける)は火打嶽[燧岳]から、ご神火をあげてこれに対しました。
ご神火は沢から吹き上げる神風にのって火の雨となり、悪勢の陣へと降り注ぎました。
さしもの悪勢も神通力を失って、焼け死んでしまいました。

悪勢の妻も娘たちと共に土出(つちいで)[片品村]まで落ちのびましたが、深山の難所にはばまれてしまい、人里はなれた小さな丘でこの世を去ってしまいました。

娘の姥(うば)は、悲しんでそこを去らず、とうとう石になってしまいました。
姥のやさしい心根が通じてか、その石は毎年小さな花を物悲しげに咲かせたといいます。

村人たちは、この石を花咲石と名付け、傍に小さな観音堂を建てて、札所の一つに加え再び戻った平和の礎として花咲石を祀りました。
今でも『 紫の雲たつ山を越えゆけば 法に逢地石に花咲く 』の歌が語りづがれています。



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武尊山Wiki
花咲石のことをご紹介されている記事
上州武尊山(伝説の地のご説明をされている記事)
花咲石,日本武尊
株式会社ナグモ様 (群馬県のお土産など製造されているそうです)
片品百景さん その49 花咲石

参考書籍 尾瀬の民話と伝承 尾瀬むかしむかし 第一集より
     (株ナグモ様の書籍より)
     ※参考図書を元に、文章を書いています。
posted by ひよこ at 09:28| 民話 群馬 | 更新情報をチェックする